遠いデュエット

2016
HDヴィデオ
40分

『遠いデュエット』は1973年のクーデターのあと祖国から逃げ、メキシコ、スペインへと移り住んだチリ人小説家ロベルト・ボラーニョの作品からインスピレーションをうけた映像作品である。
ボラーニョ臨終の地であるスペインのブラーナスから始まり、彼自身のテキストや偶然出会った人々へのインタビューを織り交ぜながら映画はボラーニョの足跡を辿ってゆく。
地主はボラーニョの物語と重ねるように、自身が暮らす日本の状況や、社会のあり方について問いを立てる。
ボラーニョがガリシア地方を舞台に描いた「穴」にまつわる物語について、ガリシア出身の女性と対話をするシーンでは、「もしこの物語の舞台が日本だったら、日本の人々は穴を見たことを忘れてしまうと思う」と問いかけ、それに困惑したガリシア出身の女性は「穴」についての彼女独自の見解を語りだす。