フォトン

2023

モニター、スピーカー

177.0 x 297.0 x 15.5 cm

映像8分

「ドローイングから小説、パフォーマンス、映像へと表現手段を展開し、近年では主題によってメディアを自在に組み合わせ作品を制作してきた地主の作品に共通するのは、時間の感覚である。夕暮れ時のうつろう光と色彩を捉えた本作は、絵画の本質的な要素−光と色彩−に向き合いながらも、ある人物の「語り」を添えることでより時間の流れが明瞭となり、さらにそこに物語という要素が加わっている。

独り言のようにも、親密な誰かに話しかけているようにも聞こえるその「語り」は、話者/撮影者の視点の動きを描写することで、観賞行為に言及する。

作品を観ることは他者の視点の追体験であると同時に、他者と一体化することの不可能性を体験することでもある、というように。しかし、この両者の断絶こそが、解釈の豊かさと世界の豊かさを支えている。地主は、作品の前に佇む時間=マジックアワーを共有するあらゆる人々を祝福するのである。」

赤井あずみ(鳥取県立博物館主任学芸員)