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2014.03.30

春がきた

いよいよ春が来ました。
今日はとても暖かくて、キッチンの窓を開けて夕ごはんを食べました。
セクシーな感じがしました。
夏の予感はやっぱりセクシーです。生命力のうずきです。

大阪でシネドライブに参加して、いろいろ思うところがありました。
今年は発表の機会が多いので
新作をたくさん作らなきゃいけないにも関わらず
自分が立っている地面が揺るぎました。
映像、映画、自主映画、実験映画、なんでもいいんですけど
そういった存在の底なし沼を見た感じがしました。
映画は人間を食い尽くすんだな、と。
いろんな作品があって、それぞれ本気でした。
それぞれ本気の中で、やはり面白い作品とあまり面白くない作品があって
その基準はもちろん人によって違うとは思うんですが、
厳密にあって、
自分の作品もそのふるいにかけられるわけです。もちろん。
なんか今更ながらシビアな世界だなと思いました。

大学を卒業してから、展覧会に参加する機会をいただいたりして
そういうときはあんまりそういうことは考えてなくて、
作品のことだけを考えていたんです。
ある意味、これまで自分が発表してきた場所には他者がいなかったのかもしれないです。

話の通じない他者に自分の作品を見せたとき、
自分の作品について語らなきゃいけなくなったとき、
突然口が回らなくなってたどたどしくなり、
自分ってこんなに何にも考えてない人間だったんだっけ?とびっくりしました。

面白かった話。
村上賢司監督の『オトヲカル』という8mmフィルム作品がクロージングで上映されました。
これは現在生産終了してしまった8mmフィルムへの鎮魂歌のような、
もしくは最後に華々しく血ドバーのとどめを刺すような強烈な作品でした。
消費期限がかなり前に切れたフィルムを使って、様々な対象を撮っているのですが
フィルムの劣化によりほとんど何も映っていません。
緑色の背景に抽象アニメーションみたいなノイズが映っています。
そこに監督の絶叫が聴こえます。
「俺は今、女を撮っている!女を撮っている!女を撮っている!」
それで、ああ、映ってないけど、カメラの先には女性がいるんだなと思うわけです。
たまにうっすら陽炎みたいに対象物の輪郭が映ります。
その瞬間、感動してしまいます。

主演女優のトークがあり、撮影のエピソードを教えてくれました。
村上監督に呼び出されて、「たぶん何も映らないから服脱いで」と言われたので脱いだと仰っていました。
しばらくしてからもう一度監督に呼び出されて、
「現像してみたらやっぱり何も映ってなかったから、大丈夫。もう一回脱いで。」
と言われ、また脱いだと仰っていました。

ただ女を撮っていたんじゃなくて、女の裸を撮っていたんだなと思って。
それありきの絶叫ということで、なんかいいなと思いました。

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