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2017.12.31

今年もお世話になりました

2017年もあと1日で終わりだ。今日はSさんとJさんとMoMAでアントニオーニのドキュメンタリーを観てから韓国料理を食べて、メゾン・カイザーで4時間もお茶をした。アピチャッポン、レオス・カラックス、ホン・サンス、デヴィッド・リンチ、ラース・フォン・トリアー、ポール・トーマス・アンダーソン、クリストファー・ノーラン、是枝 裕和…たくさんの映画の話、そしてヒト・スタヤル、カミーユ・アンロ、フランシス・スタークなどのアートの話をした。(今書いていて気がついたけれど、すべての映画監督が男性で、すべてのビデオアーティストが女性であるのは単なる偶然である)とても楽しかった。年の瀬に1人で過ごすことにならなくてよかった。

昨日までワシントンDCに3日いて、National Air and Space MuseumとかHirshhornとか良い展示を観ることができたけれど、DCの街自体は好きになれず、とても寒かったのもあり、3日目は辛かった。特にいいかげん1人でいることに疲れてしまった。

この1年ニューヨークにいて思ったのは、アートに中心地なんてないってことだ。もちろん数え切れないほどの驚くほどすばらしい作品に出会い、衝撃を受けた。今思い返してニューヨークに来て観れて良かったと思うものは、アニエス・ヴァルダの映画いくつか、ウィリアム・ケントリッジの生のパフォーマンスと初期作品を見返せたこと、Meriem BannaniのThe Kitchenでの展示。あとはUrban Outfittersで扱っているVagabondの靴が自分の好みどんぴしゃであるとわかったこと。

ニューヨークにいれば、自分が何かを見たいと思えば、たいていそれにアクセスできる。それはすばらしいことだ。
でも一方でアーティストとしては、やはり自分が日本で何をやってきたかによって値踏みされるし、結局ニューヨークにいようが日本にいようが変わらない、というか日本で制作・発表したほうが仕事の上ではアドバンテージがあるのかもしれない。結局みんなキャリアで人を見がちだ。

ケントリッジのあのアニメーションの真に独創的で力強い表現について考えてしまう。『ヨハネスブルグ、パリの次にすばらしい街』というタイトルのあのアニメーション、昔見たときと今見たときの印象がまったく違った。昔見たときも感動して涙を流したけれど、昨日見たときは心の底の感情を鷲掴みにされた。もう泣くことはなかったけれど、それは静かな感情だった。鏡の中の自分を見ているような。ケントリッジは34才のときにあれを作ったらしい。自分は33才で、年齢がどこまで関係あるのかわからないけれど、これは私の物語だと思った。諦め、他者と繋がりたいという欲望、孤独、無力感、止まらない妄想。
禿げた中年のおっさん、しかも裸のおっさんはなぜか私のアルターエゴであるかのように感じてしまった。欲望が生まれたときにそこに水たまりが発生し、魚がぴちゃぴちゃはねるあの美しさ。

来年の私は何をしているだろう。
作品を作りたい。ヴァルダのLions Loveみたいに自由で、ケントリッジのような深い叙情性を持った何かが作れたら最高だ。なにか自由になりたい。なにから自由になりたいんだろう。
あと英語の本をもっと読もう。これは自分へのタスク。

最近よく聴いているのはRihannaの『Anti』とChicano BatmanとMoondogでMoondogのチャーリー・パーカーに捧げた曲が素晴らしくて衝撃を受け、今それについて何か作りたいと思っている。Moondogも本物のアーティストだ。RihannaのConsiderationとSame Ol’ Mistakesも大好きだ。Rihannaは良い。
あとニューヨークに来て良かったのは、音楽がまた自分にとって大切になったこと、そして新しい音楽を探索しはじめたこと。ベタだけど今までちゃんと聴いていなかったBeyonceとLady Gagaが好きになり、The Slitsの『Cut』を今さら聴いて感動し、Pixiesを聴きながら料理し、Brian Enoの『Thursday Afternoon』を聴きながらスタジオまでの40分の道のりを歩き、Suicideを聴きながら家に帰ってきた。BBC Radioもたくさん聴いた。ティーンエイジャーみたいに気に入った曲を何度も何度も何度も聴きたくなる。むさぼり聴く感じだ。ここ5年ほどの音楽へのクールな態度は消えた。音楽と若さはたぶん何か関係がある。

完全なるモノローグになってしまいましたが、こんな感じで2017年を過ごしていました。周りの人に助けられて生き延びられました。本当に感謝です。
2018年が皆様にとってすばらしい年になりますように。実り多くなくても、ふとした美しい瞬間に出会えますように。

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