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2017.01.11

2017年1月10日(火)21:12

2017年1月10日(火)21:12

パリで最後から2日目の夜。夫の誕生日。主役のはずの夫は今日だけの臨時のアルバイトのためにいない。私たちはこの2日間ノロウィルスにやられて、寝込んでいた。日曜日にSさんと奥さんのIさんと一緒にパリ郊外の美術館に行って、フィッシュリ&ヴァイスの素晴らしい「正しい方向」を観たあと、パンダくんと同じように次第に気持ち悪くなってきて、乗り換え駅のNationのゴミ箱に吐いた。昼に食べた美術館近くのマラソン大会の屋台で売っていたレバーのソーセージとフライドポテトの味がそのまました。ソーセージにあたったのか、映像の中でパンダくんとネズミくんが可愛がっていたブタを丸焼きにして食べたので、そのせいで気持ちが悪くなったんだと思った。なんとか家に帰り着く頃には寒気がひどくて、どんどん熱が高くなった。38度5分まで上がった。夫は湯たんぽを作ってくれたり、蒸しタオルを首に当ててくれたり看病してくれたけれど、夜には夫が唸りだした。とても苦しそうで、助けてあげたかったけど、私も立ちあがると吐きそうになってあまり何もしてあげられなかった。次の日に2人で病院に行くと、金曜日に食べた牡蠣が原因でノロウィルスにかかったらしいことがわかった。
夫はまだ頭が痛いと言って、鎮痛剤を飲んでアルバイトに行った。彼が家を出る前に、私は味噌のおかゆを作って、一緒に食べた。美味しかった。私は明後日の昼にパリを発つのだから、そろそろパッキングをしないといけないと思って、夫がいないうちにだいたいのパッキングをし、部屋の掃除をした。この2日のうちに部屋は荒れ放題だった。私たちはそこまで綺麗好きとは言えないけれど、また半年間お別れなのに、こんなに汚い部屋で締めくくりたくない。パリで過ごしたこの1ヶ月はかけがえがない。夫はこれは新婚旅行なのだから、と言った。本当にそうだ。私たちは仲良く、幸せだった。楽しく遊んだ。
パリでは毎日美術館を見て、ヘミングウェイの「移動祝祭日」と山田宏一の「友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌」を読み、映画を見た。映画はグザヴィエ・ドランの「たかが世界の終わり」「わたしはロランス」、ポール・トーマス・アンダーソンの「インヒアレント・ヴァイス」、溝口の「残菊物語」、タランティーノの「パルプ・フィクション」、ラース・フォン・トリアーの「イディオッツ」、エイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」を見た。
自分の作品については悩み、自信をなくしたけど、同時に美術館で作品を見ているとアイデアが次々に浮かんだ。自分は美術館がとても好きなんだということがあらためて分かった。作品が素晴しかろうとそうでもなかろうと、そこに人が作った何かしらがあり、それを眺めていると心が落ち着いた。

日本に帰ったらニューヨークに行く準備をする。ニューヨークに行く。私は何かを作る。

ここの窓から見えるセーヌ川はとても綺麗で、この先二度とこんな綺麗なセーヌを目の前に朝起きたり、夜音楽を聴きながらダンスしたりすることはできないだろう。それを思うととても寂しいけれど、この1ヶ月は人生からのプレゼントだったのだ。

私はまた生き返ったみたいに色々チャレンジしようと思う。

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