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2019.01.10

2019年のご挨拶

すっかり日にちが経ってしまいましたが、新年おめでとうございます!
昨年は大変お世話になりました。

年の瀬から年明けにかけて、Laura Poitrasという監督のドキュメンタリーを2本見て、(CitizenfourとRisk、それぞれスノーデンとジュリアン・アサンジについてのドキュメンタリー)すごいものを作る人がいるもんだ、と感銘を受けました。
カメラの前で起こっていることの凄まじさはもちろんあるんだけれども、それを切り取るLauraの瞬間瞬間の直感の研ぎ澄まされ方がすごかったです。
私も2018年はドキュメンタリーを撮っていたので、このシーンもちゃんと撮るんだとか、このアングルも抑えてるんだとか、驚きの連続でした。そして映像がきれい。何のカメラを使っているんだろう・・・あんな緊迫した状況で、自分だったらあんなに完璧な構図をとれるだろうか。手ブレもない。
技術的なことばかり言ってしまったけれど、Citizenfourでは、スノーデンがカメラの目の前でアメリカ国家を敵に回すような告発をするという報道的な題材を、あのように美学的な映画にまとめ上げられたことがすごいことだと思いました。始まり方がとても美しい。ポンヌフの恋人の最初のシーンをちょっと思い出してしまいました。
Citizenfourでは出てくる人たちがみんな高潔で、こんなに素晴らしくて頭のいい人たちがいるんだと思わせられました。一方Riskはそれとは全く違って、出てくる人たちがみんな癖が強く、善と悪のグラデーションの中で人生をかけた綱渡りをしている感じでした。ああ、例えが陳腐だなあ。その点では、Riskの方が現在の状況からするとリアリティーを感じて、底知れないものを感じました。自分が今生きているこの世界、すごいことになってるなと。フィクションよりもフィクションっぽいし、先が読めなさすぎるし、もはや何が悪で何が善なのかまったく分からない。ジュリアン・アサンジが恐ろしいことを言いながらも、微笑みを絶やさず、その笑顔が可愛いなと思わされてしまうところも、何なのでしょうか。そしてトランプが大統領選を勝利したときのドヤ顔のクローズアップは、曲者の面構えが並ぶこの映画の中でも一際強くて、「顔、つよっ」と思ってしまいました。私は最近人を顔で判断するところがあります。自分の中では皮肉的にルッキズムと呼んでいるのですが、人の顔にはやはり何かしら現れています。トランプの顔は、もう実在の人の顔ではなくて少年ジャンプの主人公が戦う悪の親玉みたいでした。

とにかくLauraが映し出す現在は、私の知らなかった世界でした。これらの映画が公開されてから数年経っているので、私が今までボケッとしすぎていたのですが、ともかく2019年を迎えるにあたってこれを見ることができてよかったです。そしてこれを撮ったのが女性だということにも勇気づけられました。

1人でできることには限界がある、なんて泣き言を言っていた私ですが、Lauraが1人で撮影に赴くことを想像するとそんなことを言っていた自分を張り倒したくなります。2019年もやれることをやります。
12月後半は1年の疲れが出て、バッテリー切れのコードレス掃除機のように使い物にならなかった私でしたが、この年末年始で電源チャージされました。
今年も皆様が健やかな1年を過ごされることを願っています。

P.S. Laura Poitras監督の「My Country, My Country」という映画が見たくて堪らないのですが日本公開されていなかったみたいで、見る手段が見つかりません。誰かソフト持っていませんか・・・

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